『都市芸研』第三輯/皮影影巻『唐英烈』解説・影印

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皮影影巻『唐英烈』解説・影印

氷上 正

『唐英烈』、全十巻、冀東系皮影戯の影巻である。『説唐後伝(説唐小英雄伝)』の羅通掃北故事を柱に、『西遊記』の陳光蕊故事、および先行テキストに見えない曾家兄弟のエピソード等を付加して成り立っている。

『説唐後伝』と『西遊記』とは、それぞれ講史小説・神怪小説に分類され、異なるジャンルの物語であるとの認識が一般的であると思われるが、しかし皮影戯などの芸能を通じた物語受容の場では、学術的分類とは裏腹に、おなじ太宗の治世を扱った物語である『説唐後伝』と『西遊記』とは混交し、一つの大きな物語世界を形成しているのであり、明清代の小説・戯曲等に見える通俗物語の受容について具体的に考察する上で貴重な資料であると言えよう。

以下は、中国都市芸能研究会が収集した、遼寧省岫巌満族自治県張宗林氏旧蔵清末鈔本『唐英烈』の影印である。紙幅の都合上、本号では第一巻から第三巻のみを掲載する。第四巻以降については、本誌次号以降に随時掲載していく予定である。

なお、『唐英烈』の影印画像データは、既に中国都市芸能研究会Webサイト上に公開されている。また、『唐英烈』の書誌情報・解題については、本誌第二輯の「皮影影卷解題目錄稿」をご覧いただきたい。